2022年4月から不妊治療が保険適用になりましたが、保険・自費・先進医療など違いが分からず混乱している方も多いのではないでしょうか?
そこで今回は特に、不妊治療における先進医療についてご説明させて頂きます。
先進医療ってなに?
「先進医療」とは、厚生労働大臣の承認を受けた高度な医療技術を用いた治療のことです。
先進医療と認められるには、特定の大学等で研究・開発された医療技術が、臨床実績を上げ厚生労働省内の審査を受ける必要があります。
先進医療はどこでも受けられるの?
先進医療はどの医療機関でも受けられるわけではありません。
医療技術ごとに施設水準が定められており、厚生労働省から認定された医療機関でしか認められません。
丸田病院は宮崎県内で、実施している先進医療の種類が最多です。(2023.06現在)
先進医療を実施している医療機関の一覧|厚生労働省 (mhlw.go.jp)
先進医療は健康保険が適応されるの?
残念ながら先進医療は自由診療のため保険適応にはなりません。
ですが、保険診療に追加して行うことができます。
例えば、保険適用で体外受精をしてもなかなか着床しないため、先進医療を追加で実施する場合、採卵は保険適応のまま先進医療分だけ自費で行えます。
また、ご自身で加入している民間保険で先進医療分が保証される場合もありますので、保険会社に問い合わせてみてください。
たとえ先進医療と同じ内容の治療を受けたとしても、認定医療機関以外の病院だった場合は、先進医療とは認められず、診察料や検査料を含めて全額が自費となってしまいます。
先進医療にはどんなものがあるの?
丸田病院で実施している先進医療は以下の通りです。
<タイムラプス撮影法による受精卵・胚培養>
培養器に内蔵されたカメラで胚を外に取り出さず、一定期間自動撮影できる。
胚へのストレスが軽減され、培養成績が向上する。
<子宮内膜擦過術(スクラッチ)>
移植数日前に子宮内膜を軽く傷つけることによって、着床・妊娠率を向上させる。
<ヒアルロン酸を用いた生理学的精子選択術(PICSI)>
顕微授精を行う際に、ヒアルロン酸に接着できる成熟した精子を選別することで受精率・妊娠率を向上させる技術。
<子宮内膜受容能検査(ERA)>
着床の窓(最も着床しやすい期間)を子宮内膜を採取し、遺伝子増幅によって調べ、適切なタイミングで胚移植を行うことで妊娠が可能になる。
<子宮内膜細菌叢検査(EMMA・ALICE)>
子宮内の細菌の割合を調べ、細菌のバランスが悪い場合は適切な抗菌薬を処方子宮内環境を改善し、妊娠率を向上させる。
<二段階移植術>
初期胚と胚盤胞を、2段階に分けて移植する。
1段階目の初期胚移植が子宮をより着床しやすい状態へと促し、妊娠率を向上させる。
<膜構造を用いた生理学的精子選択術(ZyMot)>
特殊なフィルター(メンブレン)と精子の運動性により、良好運動精子を回収する方法。
遠心分離せずに精子を回収出来るので、精子の物理的な損傷を減らす。
先進医療を実施してみたい、詳しく話を聞いてみたい時はお気軽に医師または培養士にお尋ねください。