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年末調整と確定申告って、そもそも何なの?

こんにちは。
私は、普段は薬剤師として働きながら、暮らしに役立つお金の知識もお伝えしているファイナンシャルプランナーの藏屋景子です。
病院のコラムで「医療とお金」にまつわるお話をしていきたいと思います。

今回のテーマは「年末調整と確定申告」です。

12月に入ると、やってくるのが年末調整。
会社から書類を配られた方も多いのではないでしょうか。
最近ではオンラインで提出できる企業も増えてきました。

ですが、そもそも年末調整とは何のための手続きなのか、ご存じでしょうか。
会社員の冬の風物詩のように扱われていますが、その仕組みは意外と知られていません。
そして、いつもセットのように名前が出てくる「確定申告」。
今回は、この2つの違いと役割、できるだけ分かりやすくお伝えしたいと思います。

年末調整とは?会社がしてくれる所得税の調整

会社から毎月天引きされている税金や社会保険料。
みなさんは、その内訳を詳しくご存じでしょうか。

税金には主に
「所得税」と「住民税」 の2種類があります。
また、社会保険料には
「厚生年金保険」「健康保険」「雇用保険」「介護保険(40歳以上)」
といった3〜4種類の負担があります。

この中で、**「所得税」の金額を最終的にきちんと決める手続きが「年末調整」**です。
「でも、所得税って毎月すでに引かれているのでは?」と疑問に思う方もいらっしゃるかもしれません。

実は、毎月引かれている所得税は、**あくまで“仮の目安の金額”**なのです。
実際の所得税額は、

・生命保険や医療保険に加入しているか
・住宅ローンがあるか
・火災保険に加入しているか
・高校生や大学生のお子さんを扶養しているか

など、ご家庭の状況によって大きく変わってきます。

たとえ収入が同じ金額であっても、
独身の方とご家族を扶養している方とでは、最終的な所得税額は同じにはなりません。

こうした1年間の状況をまとめて確認し、
本来支払うべき正しい所得税額に調整してくれるのが「年末調整」なのです。


控除とは?たくさんあると嬉しい仕組み

収入から必要な経費などを差し引いたものを「所得」といいます。
通常、この 所得の金額をもとに所得税が決まります。

しかし、私たちは一人ひとり生活の状況が異なります。
そこで国は、「このような支出がある場合は、所得からさらに差し引いて税金の負担を軽くしてあげましょう」という制度を設けています。
これを 「所得控除」 といいます。

例えば、

  • 生命保険料や地震保険料
  • お子さんの年金を代わりに支払っている場合の社会保険料
  • iDeCo(個人型確定拠出年金)
  • 扶養控除や配偶者控除

などが代表的な控除です。

これらの控除がある場合は、年末調整の書類と一緒に、必要な証明書を提出することで反映されます。

よく言われますが、
脱税は犯罪ですが、減税は制度として認められた正当な権利です。

控除は、
「使えるなら使っていい、うれしい制度」 と覚えておきましょう。
控除が多いほど所得税は少なくなります。
支払う税金は、無理なく、必要な分だけでよいのです。


さらに、「所得控除」よりも、もっと直接的に所得税を少なくしてくれる仕組みとして「税額控除」 があります。
税額控除は、計算された 所得税そのものから差し引かれる ため、減税効果がより大きいのが特徴です。

代表的なものが、住宅ローン控除(住宅ローン減税) です。
マイホームを購入した方は、年末調整や確定申告によって、一定期間、所得税が戻ってくることがあります。


確定申告とは?自分で税金を確定させる手続き

それでは、「確定申告」とは何でしょうか。
確定申告とは、年末調整ではカバーできない控除や収入について、税金を“自分で申告する”手続きのことです。

自営業の方やフリーランスの方など、**会社に所属していない方(給与から年末調整が行われない方)**は、毎年この確定申告によって ご自身で所得税の金額を確定させます。

一方、会社員の方は、ふだんは会社が年末調整をしてくれるため、原則として確定申告は不要です。
しかし、会社員であっても、次のような場合は確定申告が必要になります。

  • 住宅ローン控除を受ける 1年目
  • 医療費控除を受けたい場合
  • 副業などの所得が 年間20万円を超える場合

などが代表的なケースです。

なお、「ふるさと納税」については、ワンストップ特例制度を利用していれば、確定申告は不要で、年末調整だけで手続きが完了します。
詳しくは、前回のコラム
ふるさと納税はワンストップ特例で簡単に をご参照ください。

会社員の方は、基本的には 会社が代わりに手続きをしてくれる「年末調整」だけで問題ありません。
しかし、先ほどのようなケースに当てはまる場合は、自分で行う「確定申告」が必要になるという点を、ぜひ覚えておきましょう。


医療費控除について

さて、病院のコラムとしては医療費控除に触れないわけにはいきません。
医療費控除をご存じでしょうか。

医療費控除 とは、自分や家族がその年に支払った医療費が一定額を超えると、
所得から差し引いて税金を軽くできる制度 のことです。

目安としては
「1年間の医療費が10万円を超えたら」
医療費控除の対象になる可能性があります。

(正確には、所得が200万円以上であれば「医療費が10万円を超えたら」で合っていますが、
所得が200万円未満であれば「医療費が所得の5%を超えたら」になります。)


計算式は以下の通りです。

(1年間の医療費の合計 − 保険金などで補てんされた額) − 10万円


例:実際に計算してみましょう

  • 所得:300万円
  • 入院治療で医療費:50万円
  • 医療保険の給付金:20万円

この場合:

(50万円 − 20万円) − 10万円 = 20万円

20万円が所得控除 として認められます。

▶ 医療費に「含まれるもの」「含まれないもの」

✔ 含まれるもの

  • 入院や外来の治療費
  • 処方箋に基づく薬代
  • 子どもの「歯列矯正」(治療目的の場合)
  • 通院のための公共交通機関の交通費

歯列矯正は費用が大きいため、医療費控除が一気に使える代表例です。

✔ 含まれないもの

  • 差額ベッド代
  • 入院中の食事代(自己負担分の食事療養費以外)
  • 美容目的の施術
  • インフルエンザ予防接種など、予防目的 の費用

▶ 医療費控除を受けるには“確定申告”が必要です

医療費控除は、年末調整では手続きできません。
必ず確定申告が必要です。

医療費が多かった年だけ確定申告する、という方法でも構いません。
その際、タイミングを合わせて歯科治療などを行い、
医療費が1年にまとまるように調整する のもよく行われる方法です。

▶ 医療費の領収書は必ず保管を

急な病気やけが、予期せぬ入院はだれにでも起こりえます。
医療費控除は 家族全員分を合算 できるため、
受診した際の領収書は、1年分まとめて保管しておくのが安心です。



家を建てたときの、私自身の話

少し自分の話をします。
まだファイナンシャルプランナーでもなく、お金の知識がなかったころ、結婚を機に家を建てました。
そのときに初めて、「住宅ローン控除を受けるには確定申告が必要です」と言われたのです。

それまでの私は、年末調整についても
「なんだかお金が少し戻ってくる、ちょっとラッキーな制度」
くらいの認識しかありませんでした。
当然、確定申告のことなど、まったく分かりません。

「家を建てたら、確定申告が必要なの?」
「確定申告って、そもそも何?」
「年末調整とどう違うの?」
「年末調整をしてから、また確定申告もするの?」

疑問だらけで、正直なところ
「もう何が何だか分からない…」 という状態でした。

そんな当時の自分に、今ならこう伝えたいです。

「年末調整をしてから、確定申告をしよう。
所得税の金額を正確に決めるのが確定申告だよ。
払い過ぎた税金は戻ってくるよ。
家を建てた“1年目だけ”は確定申告が必要だよ。
2年目以降は年末調整でできるよ。
銀行からの残高証明書を出すんだよ。」

そうして、どうにかこうにか確定申告を終え、
私は 住宅ローン控除の「威力」 を目の当たりにしました。

当時2008年は
「住宅ローン残高の1%が税額控除(2025年現在は0.7%)」 の制度だったため、
例えば住宅ローンの残高が2,000万円あれば、
約20万円が税金から戻ってくる 計算になります。

実際、12月の給与で払い過ぎた所得税が還付されたのですが、
その金額が 賞与2か月分とほとんど変わらず、
「えっ…これ、間違ってない?」
「偉い人の給料明細と取り違えられてない?」
と、本気で焦えたのを今でもよく覚えています(笑)。

この出来事が、
「お金のことを知らないのは、こんなにも損をするのかもしれない」
と実感した最初のきっかけでした。
そしてそれが、私がファイナンシャルプランナーを目指すようになった理由のひとつでもあります。

まとめ

年末調整は、会社があなたの代わりに所得税の計算をしてくれる制度
確定申告は、年末調整ではできない控除や副業の収入がある場合に、自分で所得税を申告する制度です。

毎年のことですが、昔の私のように
「何となくやっているけれど、実はよく分からない…」
という方もいらっしゃるかもしれません。
今回は、そんな方に向けて、年末調整と確定申告についてまとめてみました。

今回は、年末調整と確定申告についてお送りしました。
これからも 「医療 × お金」 のお役立ち情報をお届けしていきます。
次回も、ぜひご覧くださいね。

それでは、最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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